老人保健施設は、略して老健と呼ばれ、自宅への復帰を目指す要介護の高齢者が利用する公的な介護保険施設です。要介護とは、身体の不自由度に応じて介護の必要性を示す指標のことで、1から5まであり、数字が増えるほど重度になることを表しています。高齢者とは、65歳以上の人のことです。老人保健施設に入居する高齢者は、自宅に戻るまで一時的に過ごすだけで定住を目的としていません。老人保健施設では、介護ケアに加え、高齢者の自立支援のため積極的に医療ケアやリハビリを行う点で、一般的な老人ホームと異なると言えるでしょう。
老人保健施設では、介護職員が入浴や食事の介助をするだけでなく、医師や看護師が高齢者に医療行為を施すほか、作業療法士や理学療法士がリハビリを行って、高齢者の機能回復をサポートしているのです。医療ケアを重視する老人保健施設において、介護職員も一定の医学知識を求められます。喀痰吸引やストーマの処理といったスキルが必要になることもあるでしょう。老人保健施設の入居期間は、原則として3ヶ月から半年と定められているものの、実際には期間内に自宅復帰が望めないケースが多く、入居期間が延びることも珍しくありません。
自宅に戻れるレベルまで機能が回復しても、家族の受け入れ体制が整わず、老人保健施設を退去できない高齢者もいます。また、入居待機者が多い特別養護老人ホームの入居待ちをしている高齢者の一時的な避難場所として、老人保健施設が利用されることもあります。(参考サイト:http://rouken-medicalplus.com)